大工の仕事

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大工仕事

 造作

 

 

家の内部の大工仕事のことを「造作」といいます。

住まい手の暮らしの中で、繰り返し目に入り、手足で触れる部分。それだけに、細やかな気配りや仕上げ、材料の見極め、寸法や構成のセンスが求められ、気が抜けません。
化粧柱や建具枠のように表に現れて見える部分もありますが、下地となる木材や石膏ボードなどのように、家が出来上がってしまえば表面の仕上げ材に隠れて見えなくなる部分も多くあります。
 

 建前 


 

家の骨組みを一気に組み上げます。

 
複雑な架構、山と積まれた部材。順序を間違えると行き詰まってしまう組手でも、要所を素早く見抜き、先を読んで動きます。あなたが大工でなければ、その風景はきっと不思議にみえることでしょう。
建前では、チームプレーが欠かせません。手の内を知り尽くしたいつもの仲間同士なら、指示はなくても自然と役割分担がきまり、スムーズに作業が進みます。もちろん、合図や声掛けなどのやりとり、意思表示も、とても重要です。
そして建前でもう一つ大切なこと。それは、怪我をしないこと。高所作業であり、たいていは重機を使い、重量物を扱います。これから家を建てるお祝いの日に相応しい形でその日を終えることが、大工の願いです。
 

 刃物研ぎ


 

鋸(のこ)、鑿(のみ)、鉋(かんな)、錐(きり)…。大工仕事では多くの刃物を扱います。

当たり前ではありますが、刃物が良く切れなければ、きれいな仕事は出来ません。大工の言い習わしで、「穴掘り三年、鋸五年、墨掛け八年、研ぎ一生。」と言われます。研ぎの奥深さは、一生研鑽してもなお極め尽くせないものだ、ということです。
また、いくら仕事が忙しくとも、道具はつねに手入れし、いつでも使えるように準備しておかねばなりません。これは余程心がけておかないと、ついつい疎かになってしまいがちです。「刃物を見れば、大工の手(技術)がわかる。」とも言われますが、これは例外なく言えることだと思います。つまり、刃物には技能と研鑽、心がけや姿勢まで全てが現れるということでしょう。
 

 墨付け


 

墨付けとは、図板を頼りに家の骨組みとなる実際の材料に、加工の線を書き込む作業です。

平面である図から立体である骨組みを想起して各部の寸法を割り出し、それをまた材料の各面に正確に展開出来なければなりません。
熟達の棟梁ともなると、それはまるでプロ棋士の頭の中に将棋盤と駒が入っているのと同じような、不思議とも思える能力です。
 

 刻み


 

前述の墨付けされた材料を加工することを、「刻み」と言います。

現在、これらの工程の殆どが、コンピュータープログラムとプレカットマシーンに代替されています。安定して正確であり、かつ安価なのですから、当然の流れといえるでしょう。
実はこれは一大革命であり、「一人前の大工がいなくても家が建つ。」という結果をもたらしました。別の言い方をすれば、棟梁はいなくても工務店を開業出来るというわけです。墨付けがきっちり出来るにはそれなりの能力と修業が必要ですから、これがひとつの参入障壁だったのですが、プレカットの普及によって取り払われました。
結果、大工の価値は何処にあるのかが、問い直されることとなりました。その問いは、今も続いています。
 

関連職種

 左官


 

京都の建築職人の言い習わしに、「一壁、二障子、三柱。」というのがあるそうです。

内装で目立つ部分は、一番が壁、次が建具、そして大工の造作は三番目だ、というわけです。
その一番目立つ壁をきれいに塗るのが、左官さんの仕事です。
格言通り、左官さんの腕と心意気で、家の印象は大きく左右されます。
小さな鏝(こて)で大きくて平らな壁を作る、これまた不思議な仕事なのです。